がん治療の転換点か

陽子線治療装置の小型化が成功し、がん治療が転換点を迎えているという。日本のがん治療では外科手術が主流だが、患者の負担が大きい。欧米では日本に比べて放射線治療の割合が高い。放射線治療のメリットは体にメスを入れずに済むことだ。だが、X線治療では副反応の問題がある。でも、陽子線治療はがんの部分にピンポイントで照射することで、他の臓器にダメージを与えない。この点は優れているが、費用や装置の大きさなどといった課題があった。費用面では、X線が約10億円、陽子線が約50億円、重粒子線は約100億円。X線装置はビル1階に相当する約4メートルの高さだが、従来型の陽子線治療装置ではビル3階に相当する約12メートルも必要だ。導入するには費用もスペースもネックだった。それを解決したのが、放射線医学総合研究所発のビードットメディカルだ。従来型の装置は陽子線加速器を回転させながら、患部に照射する。これが大型となる原因だ。それを加速器を固定して超伝導電磁石で照射方向を制御する全く新しい仕組みの装置を生み出した。現在、陽子線治療が受けられる医療施設は全国で19施設、重粒子線は7施設。年に約100万人が新たにがん患者となるのに、2万人超しか治療出来ないのが現状だ。ビードットメディカルは2030年には陽子線治療装置が100を超えると見込んでいるという。がんは誰でもなる病気だ。早く陽子線治療装置が全国に行き渡ることを願いたい。