金融バズーカの失敗と終焉

日銀が大規模金融緩和策を修正し、長期金利の上限を0.25%から0.5%へ引き上げた。黒田総裁は会見で「利上げではない」と強調したが、事実上の利上げだ。実際、市場は反応し、日経平均株価が800円も急落し、円買いドル売りが急加速し1ドル=137円から132円と一気に5円も円高に振れた。今後、利上げ、円高に動くのは必然だ。黒田がとうとうアベノミクスの3本の矢の1本である金融バズーカの失敗を認めた証左かもしれない。最近は、資源価格下落で輸入物価は下がり、為替レートは円高方向に動いている。黒田は「今がチャンスだ。利上げしても大して批難はされないだろう」と踏んだのだろう。もうすぐ総裁の任期も終わる。後任は利上げから手を付けるだろう。それなら、今地均しでちょっこっと利上げしておこう、とでも考えたのだろう。問題は、日銀が金融バズーカの検証をしないことだ。サルでも反省するのに、日銀は反省しない。金融バズーカが、これからの日本経済に如何に深い傷痕を残すことになるのか考察が必要だ。