理不尽な話

人は世に連れ世は人に連れ」に書いた、はごろもフーズ訴訟の顛末が分かってきた。発端はシーチキンLフレーク缶にゴキブリが混入していたこと。当初は、はごろもフーズの社員が購入者に謝罪し解決したと興津食品に連絡したが、その後複数のメディアが報じたことで事態は急変した。興津食品とはごろもフーズの取引は50年前から始まっていた。興津食品の売上の約9割はごろもフーズが占め、下請け工場としてツナ缶製造を請け負ってきた。この間、はごろもフーズの助言に従い、工場の補修や機械・設備の更新を行い、立ち入り検査も受けてきた。しかし、はごろもフーズは態度を硬化し、工場の建て替えを要求。しかも、工期2年、費用は30億円だが、完成後興津食品に製造を頼むかは分からないと告げた。興津食品が廃業の意向を固めると、はごろもフーズが今回の9億円賠償の裁判を起こした。9億円の内訳は、混入缶が見つかったスーパーへの賠償金や騒動を受けてキャンセルを強いられたCMなどの広告宣伝費、クレーム対応の人件費やコールセンター設置にかかった費用、そして一連の報道の影響で家庭用シーチキンの売上が想定を下回った分の逸失利益などが含まれているという。返品されたツナ缶ははごろもフーズが転売していたというから、ゴキブリは1匹しか混入していなかったのだろう。舞台となった工場は解体され、興津食品も実質廃業状態にある。興津食品側は控訴する方針とのこと。はごろもフーズはあこぎな会社だと思う。スーパーでツナ缶を見る度に理不尽な話を思い出しそうだ。