社内の論理から社会の論理へ

福島原発事故の株主代表訴訟裁判で、東京地裁は旧経営陣4人に対し東電に賠償金13兆円を支払うよう命じた。原発事故を巡る旧経営陣の責任を認めた判決は初めてで、国内の裁判の賠償額としては過去最高。画期的な判決だと思う。争点は、巨大津波の予見が可能だったかと、浸水対策などで事故を防げたかどうかだった。国は15mの巨大津波を試算していたが、経営陣は「信頼性が無い」と無視をした。東電の会議でポンプ浸水防止、建屋の防水性の向上などが挙げられていたが「読んでいない。記憶に無い」を繰り返した。傍聴席では失笑が起きていたという。裁判長は、善管注意義務の欠如と断言した。原発は一度事故を起こせば、広範で深刻な被害を及ぼす。だからこそ経営陣は安全性の確保にできる限りの注意を払わなければいけないと断じた。要するに裁判長は、経営陣の無責任さに頭にきたのだろう。この判決のお陰で、今後は電力会社に限らず経営陣の安全管理責任が追及されることになる。重点が社内の論理から社会の論理へ移るきっかけになる。この判決は13兆円以上の価値があると思う。