経済安保法の致命的な欠陥

政府は日本の食料自給率について「コメ98%、野菜80%、鶏卵96%」などと説明している。でも、これを信じて良いのだろうか。鈴木東大大学院教授が警告している。「野菜の種の90%は海外頼みで、鶏のヒナもほぼ100%が海外依存。どちらも輸入が途絶したときの自給率はすでに0%に近い。コメも野菜と同様に種採りが海外でおこなわれるようになる恐れがある。そうなれば、近い将来、日本は飢餓に直面するだろう」と指摘している。政府の食料自給率にしても、農水省のデータから推定すると、2035年にはコメ11%、青果物や畜産は1~4%と、危機的な状況に陥ると見られている。何もしなければ、日本は2035年には飢餓に直面する恐れがあるのだ。一方で経済安全保障推進法が先月成立した。だが、その中には食料自給率は含まれていない。経済安保法は、供給網の強化、インフラの安全確保、特許の非公開化、先端技術の研究開発の4本の柱から成っている。でも、肝心の食糧の確保は含まれていない。経済安保法には致命的な欠陥があるようにみえる。