「桂」と「道」

カミサンの名前の一字「桂」は、両親の新婚旅行の思い出の地・桂離宮の「桂」から採ったと聞いている。自分の名前の一字「道」は、疎開先の北海道の「道」から採ったと母から聞いたことがある。名前は生涯不変なものだが、名付けとはシンプルなものだと思う。そう言えば、自分は親が育った環境・経歴を殆ど知らない。カミサンの父が亡くなって40年以上経つ。でも、戦中・戦後の食糧難を克服するため京大農芸化学に入ったと知ったのはごく最近のことだ。自分の父のことでさえ、あまり良く分からない。子供の頃に何気なく聞いていた父の話を思い出す程度だ。父は「家系を辿ると信長の時代まで分かる。当時は半分武士で半分農民の郷士だった。一時は近江商人として財を成した。でも全財産を本願寺に寄贈し、そのお礼として北海道の僻地が与えられた。父の兄は北海道へ、次男の父は東京に出た。働きながら大学を卒業した」と話していることを微かに覚えている。でも、父と母の馴れ初めなど聞いたことがない。もう、自分の肉親は7つ上の姉しかいない。ボケる前に一度聞いておく必要がありそうだ。