アベノミクスの大失敗

超整理法や超勉強法などの著書で有名な野口悠紀雄一橋大学名誉教授によるアベノミクス評価が面白い。アベノミクスの7年半で日本の賃金や1人当たりGDPは「米国並み」から「韓国並み」に低下したと指摘している。アベノミクスは円安を誘導した。でも、その円安は労働者に還元されず生産性を高めることにもつながらなかった。本来円安によって輸出物価は高くなるが、同時に輸入物価も同率だけ上がるから、企業の利益が増えるはずはない。だが、輸入物価の値上がりを消費者価格に転嫁する一方で、輸出物価の値上がりを労働者に還元しなかったから、企業の利益は増えた。企業が円安に見合った生産性の向上をしていれば、1人当たりのGDPが低下することはなかったと言う。今や日本の1人当たりのGDPは韓国の29位に限りなく近い24位だ。そのトレンドが続けば、近い将来日本は台湾、マレーシア並みになる。そこで止まらず、インドネシア並み、ベトナム並みになるのもそう遠い将来のことではないかもしれないと推測している。企業に円安という甘い汁を吸わせてしまい、企業に生産性向上の努力を怠らせてしまったのがアベノミクスの大失敗と言えるかもしれない。