海洋放出の大前提

復興庁が公開したトリチウムをゆるキャラ化したチラシと動画が一日にして休止された。風評の払拭が目的とはいえ、放射性物質のトリチウムを、無害だから飲んでも良いとは、度を超している。復興庁は福島の抱える現実の厳しさを全く理解していないし、むしろ風評を煽っているとも言える。まあ二階にラストチャンスとして滑り込ませてもらった平沢勝栄が長官なのだから、追って知るべしだ。福島原発事故の放射性排水の処理は、初めにセシウム134と137、ストロンチウム90を分離し、その後、多核種除去装置ALPSで残った放射性核種62種類を基準値以下になるまで除去するという方法だ。このALPSでも分離できないトリチウムだけが残ってしまったものが処理水と呼ばれている。海洋放出を閣議決定したしたのが、この処理水だ。トリチウムは現代技術では分離する方法が無いから海洋放出はやむを得ないと思う。しかし、海洋放出するには大前提がある。トリチウム以外の放射性物質が基準値以下まで除去されていることだ。2018年のニュースによると、処理水89万トンのうち75万トンが基準を満たしていなかったとのこと。ALPSは未だに未完の装置なのだ。マスコミはトリチウムの希釈倍率だけに焦点を当てているが、タンクに貯蔵されている処理水の実態に目を向けるべきだと思う。