這えば立て、立てば歩めの親心

菅首相の様子が何か変だ。緊急事態宣言の発令で、しっかり前を向いて話している。今まで記者会見でも国会答弁でも、下を見て官僚の作文を読み上げるのを見慣れてしまったからかもしれない。漸く何も見ずに喋れるようになったのかと思ったが、そうではない。紙がプロンプターに替わっただけなのだ。菅は会見の1時間前から誰も居ない会場で一人で練習していたらしい。プロンプターというカンニングペーパーを読む練習をだ。自分は菅の姿を見て、小学生の学芸会を連想した。子供にとって台詞を覚えるのはハードルが高い。まずは台本を見ながら台詞と動作を覚える。次に台本無しで要所要所のカンペを用意し、台詞に詰まったらカンペを見る。そして本番当日になると、台本もカンペも無しに劇を熟す。菅の会見は、小学生の本番前のカンペ練習に当たる。まだ人前に出て演技をしてはいけないレベルなのだ。でも、マスコミは「菅は前を向いて話した」と囃し立てる。「這えば立て、立てば歩めの親心」という成句がある。マスコミから見れば、菅のプロンプター会見は「赤ん坊が立ち始めた」と見做し、歩むことを願っているのかもしれない。菅会見はとうとう子供を通り越して赤ん坊になってしまった。