「発出」にガッテン!

昨年4月に緊急事態宣言が出た時、安倍前首相は緊急事態宣言を「発出」することとしたと述べた。でも「発出」などという単語は聞いたことも無いし、大辞林を調べても見当たら無かった。それで、4月7日のこのブログ「接触8割減のために 」では緊急事態宣言が「発令」されたと書いた。今月菅首相が2回目の緊急事態宣言を出した時も「発出」を使った。再び使われたので、辞書にも載っていない単語を使っていることに違和感を覚えた。ところが、調べる人もいるものである。日本で最も網羅的な国語辞典である日本国語大辞典には載っており、その意味は、ある物事や状態が生じて外に現われること、発疹が出ること、出発すること、送り出すこと、とあり、何かを告げ知らせるような意味は載っていないとのこと。更に、文科省の諮問機関である国語分科会は公用文の書き方に関する検討を進めていて、官公庁でしか用いないような集団語は一般用語に言い換える方向にある。その一例として「発出」は「通達」に換えることを例示している。要するに「発出」は、お役所言葉なのだ。安倍前首相も菅現首相も官僚の作文を朗読するが仕事だと思っている。道理で「発出」と言う訳の合点がいった。ガッテン。