モーリシャスその後

モーリシャスの重油流出事故に関し、ジャグナット首相は茂木外相との電話会談後「決して日本の責任とは考えていない」と述べたという。流出事故が起きたのは7月25日。既に一月半が過ぎた。当初緊急援助隊を派遣し、小泉環境相も出来ることはやると表明したのに、その後民間マターだとして重い腰を上げなくなった。民間マターと言えども、日本船籍のタンカーが世界的な生物多様性のホットスポットを重油で汚し、環境や漁業に重大な被害を与えているのだから、日本は政府として積極的に回復を図る義務があるはずだ。モーリシャス政府もそう思っていたに違いない。だから、ジャグナット首相の「決して日本の責任とは考えていない」発言は奇異に感じた。茂木外相は今になって電話会談で、事故再発防止のための海上航行安全システム強化への支援、マングローブ林保全・再生のための専門家の派遣、モーリシャス経済への財政面を含む協力等々を提案・説明したという。こう提案されればジャグナット首相は支援の遅さに不満は言えず「決して日本の責任とは考えていない」と言わざるを得なかったのだろう。日本のやるべき最善策は、事故直後に重油流出拡大の防止と汚染防止対策の実施だったと思う。我が手を汚さず、全てを金で解決しようとする日本政府の常套手段には腹が立つ。