安倍政権を振り返って

安倍首相が辞任を表明した。7年半にもわたる長期政権となった理由を考えてみた。それ程有能とも思えない安倍が何故一強を続けることが出来たのだろうか。振り返ってみると、2001年の中央省庁改革による内閣府の新設や2014年の内閣人事局設置により、幹部官僚に対する首相の権限が強められた。インテリジェンスに詳しい佐藤優の本を読むと実態が分かってくる。政治改革で1994年に小選挙区比例代表並立制が導入されたことにより、総裁の持つ公認権の意義が大幅に高まった。政治的争点を保守的政策から経済政策に切り替えた。人事権を活用し大規模緩和に積極的な財務省出身の黒田東彦氏を日本銀行総裁に登用しアベノミクスを実行した。オマケにリベラルな働き方改革、女性活躍、全世代型社会保障などの政策を掲げ、国民の心をくすぐった。更にオマケとして野党は分裂状態ということだろう。でも結果はどうだったのだろう。権力の集中で長期政権になったものの、官僚の忖度が常習化してしまった。決して戻ることの出来ないアベノミクスという川を渡ってしまった。一言で言うと、安倍一強の長期政権は偶々行政改革に乗り、国民はチンドン屋的な政策に踊らされたに過ぎないと思う。政治家は結果で判断されるものだ。安倍政権の時代、日本のGDPは全く伸びていない。詳細に見れば寧ろ下がっているのが事実なのだ。従って辞任したことを祝福するしかない。首相の仕事は、決して体調の悪化を理由に、褒め称えるべきものではない。