政治という劇場に生きているだけ

観光業界は国内数百万人が従事している日本経済の要となる一大産業の業界だ。でも業界の売り上げがコロナによって約9割減の大打撃を受け、雇用調整助成金や持続化給付金などを受けながら、なんとか雇用など維持している状態という。それを助けると言うのだから、GoToトラベルは大切な政策だと思う。ところが、実施に当たっては問題が多すぎる。まずタイミングの悪さ。コロナが全国に拡散し始めた時期に、政府はGoToトラベルを強行した。言わばコロナよ全国に広がれ!と言っているようなもの。ブレーキを掛けるべきはずの政府がアクセルを踏んだのだから、開いた口が塞がらない。更に、8月中旬からのスタート予定だったのに7月に前倒しした。しかし、業界全体への通達が行われず、結局詳細な実施要領は政策に関与した大手だけが知ることになり、国交省の配慮不足で中小企業には知るすべがなかった。結果として、GoToトラベルの政府予算1.3兆円は、大手だけが甘い汁を吸い、本来のGoToトラベルの目的である観光業界全体の救済は果たせないことになるようだ。これが安倍政権の特徴だと思う。身近なものを厚遇し、遠くにあれば見向きもしない。政策の狙いは的を射ているが、実施の段階でコケてしまう。ひょっとすると彼らは政治という劇場に生きているだけなのかもしれない。