オーバーシュートの補足

オーバーシュートとは、一般的解釈は「行き過ぎ」だが、医療用語では「新型コロナウイルスの爆発的な感染」を意味している。専門家会議は、今後の新型コロナウイルスの爆発的な感染の恐れを考慮し、当然接触感染防止策を最優先で推奨する。立場上当たり前の提言だ。でも、国民生活を預かる首相にとって、最優先は国民生活の安定化だから、感染防止が最優先とは限らない。首相は、経済や保安や健康などの全てを勘案して、最善策を決断しなくてはならない。でも、現実はどうだろう。専門家の「この1~2週間が山だ」との提案に、首相は過剰に反応し、感染者もいない地域も含め一斉休校を唐突に要請した。専門家の提案とは関係なく首相が独自に勝手読みして実行したのだ。国民生活の混乱は必至だった。一方、今度は専門家の判断に沿って、一斉休校を新学期から解除することに決めた。理由は「専門家の判断に委ねる」と、政治判断を放棄したからだ。前回の専門家の提言を勝手読みして不必要な休校を強いたのは首相のオーバーシュートだし、今回の政治判断を専門家に委ねたのも、前回の反省のオーバーシュートと言える。でもオーバーシュートはいずれは収斂するものだ。その収斂が1回で済めば名宰相という誉れを手中にすることになる。2回以上になれば愚。