事実と真実の違い

人種差別と白人至上主義を標榜としてきたトランプが、米銃乱射事件を受け、何と「人種差別と白人至上主義は非難されなければならない」と発言した。選挙のためなら二枚舌も有りということだろう。ところが、ニューヨークタイムズはこの発言を額面通り受け取り、朝刊早版1面トップに「トランプ氏、人種差別に対し結束促す」と据えた。それに怒ったのがリベラルな読者層だ。#CancelNYTが急増し、購読キャンセル申請が相次いだとか。慌てふためいたニューヨークタイムズは遅版の見出しを「憎悪犯罪を非難するも銃規制には触れず」と差し替えた。新聞の使命の一つは事実を伝えることだ。トランプの「人種差別と白人至上主義は非難されなければならない」発言は事実。だが、トランプは人種差別主義者で白人至上主義者だから、この発言内容は真実ではない。そこで見出しを差し替えた。この差し替え行為こそが間接的に真実を物語っている。結局、ニューヨークタイムズは、期せずして、事実と真実を伝えることに成功したとも解釈出来る結果になった。意図したものであれば天晴れなのだが。