アスクルとヤフーの攻防は

アスクルの「ロハコ」を巡るヤフーとの攻防が面白い。池井戸潤の「下町ロケット」を彷彿とさせる現実版だ。アスクルは「明日来る」から転じて社名にした文具のネット通販会社。企業向け通販の「アスクル」と個人向け通販の「ロハコ」の2事業を手掛けている。個人向けネット通販はこれから伸びる有望な分野だ。でも物流センターの火災と宅配業者の値上げで赤字に陥っている。宮内ヤフー社長とアスクル岩田社長が共同事業として「ロハコ」を育てることに同意。信頼のもとに事業は順調に動き出した。ところが、ヤフーはソフトバンクの子会社になり、ヤフー社長は宮内が更迭され川辺に代わった。ソフトバンクはヤフーが日本のアマゾンになることを目指している。足りない事業は個人向けネット通販のプラットフォームだ。ソフトバンクは是が非でもそれが欲しい。川辺ヤフーはソフトバンクから「ロハコ」を引き抜くよう指示されて、アスクルに譲渡を打診する。びっくりしたのはアスクルの岩田社長だ。これまでアスクルにとってヤフーは経営の友達だった。それが突如敵になったのだから、その驚きは想像に絶する。勿論即座に拒絶した。アスクルの岩田社長は当面の敵であるヤフーと戦っている。しかし、身内だったはずの親会社プラスもヤフー側に着いている。現実版はここまで。テレビより迫力がある。これから如何に進むか興味津々。