迷走する英国

英国のEU離脱交渉が迷走している。メイ首相がEUとの離脱協定素案を持ち帰り、内閣が了承したものの、閣僚の3分の1が反対し主要閣僚が辞任し、議会での承認は得られそうも無い。離脱までに、あと4ヶ月しか残っていない。英国民は、離脱協定素案に合意するか、合意無しに離脱するか、離脱を止めるかの選択に迫られている。しかし、3つとも同じような支持率だから決まる見通しは全く無い。状況はこのまま進む。すると自動的に時間切れで合意無しの離脱へと突入することになるはずだ。何故このように混迷してしまったのだろうかを考えた。主な原因は2つある。一つは過半数で成立するという国民投票に委ねたことだ。過半数獲得が民主主義の大原則だが、EU離脱はこの原則にそぐわない。このような大問題は大半が賛成しなければ上手くいくはずがない。せめて3分の2を条件にすべきものだったと思う。日本の改憲も同じように思う。もう一つは、離脱推進派をトップにしなかったこと。離脱の旗振り役だったジョンソン前外相が逃げ、残留派のメイ首相が離脱交渉役に就いた。玉虫色の決着に至ることは十分予測出来た。その通りになった。でもメイは混迷に拍車をかけただけだ。もしジョンソンが首相になっていれば、もっとメリハリがはっきりして国民も離脱の是非の選択がし易かったに違いない。逃げたジョンソンの責任は重い。