現場作業の原則

完成目前のビルで大規模火災が発生した。真っ黒な煙が立ち上る様子をテレビが放映していた。今年の10月に完成する予定で、当日は耐火工事や内装工事の作業が行われていた。現場は多摩市唐木田、地下3階・地上3階の鉄骨造。施工者は安藤ハザマで依頼主は三井不動産の子会社。アマゾンのデータセンターが入居する予定だったらしい。警視庁は、アセチレンボンベのバーナーを用いた鉄筋の切断作業中に、断熱材のウレタンに引火したとしている。死者5人、負傷者42人の人的被害が発生した。現場施工型のウレタン発泡断熱は、極めて断熱性能は高いが、引火して大火災に至る恐れも極めて高い。完成間近に施行されるので被害も大きくなるのが特徴だ。しかも、燃えるとシアンガスと一酸化炭素を発生する。ともに猛毒だ。燃え易さと猛毒が被害を拡大させたのは容易に推測出来る。建築業界ではウレタンの危険性は常識。その対策を確実に取らなかった施工者の責任は極めて大きい。完成期日が迫ると、遅れた工程を取り戻すため、無理に作業工程を詰めることが多い。しかし、絶対に同じ場所で同時作業をしてはいけないものもある。その原則が守られず、成るべくして起きた事故火災と言えそうだ。