大選手の愚行

あのフィル・ミケルソンが、48歳の誕生日に男子ゴルフ全米オープンで前代未聞の違反を犯した。13番グリーン上でパットし、まだ動いているボールを先回りして打ち返した。ゴルフルールでは「自分のボールが動いている間はそのボールをストロークしてはならない」との規則があり、違反で2打の罰が加わった。ミケルソンは「以前から一度はやろうと思っていた。ルールは知っているが、バンカーに落ちるよりはマシ。ルールを戦略的に使っただけ。無礼な行為と思われるのなら、謝る」と確信犯的行為を認めている。極めてシビアとなったコースセッティングへの抗議の意思表示だったのかは分からないが、それにしても世界を代表する大選手がこのような愚行に走るとは開いた口が塞がらない。48歳の大選手が・・・、ということで孔子の論語の一節を思い出した。「子曰く、吾十有五にして学に志す、三十にして立つ、四十にして惑わず、五十にして天命を知る、六十にして耳順う、七十にして心の欲する所に従えども、矩を踰えず」。ミケルソンは四十にして惑っている。心の欲する所に従えども、矩を踰えなくなるのは孔子でも七十なのだから、48歳のミケルソンが矩を踰えるのは宜なるかなとも思う。