裁判所の奇妙な判断

袴田事件の再審を認めた静岡地裁の判断が、東京高裁により棄却された。東京高裁は本人のものではないとするDNA鑑定結果と本人が着ることの出来ない小サイズの遺留着衣を根拠が乏しいと退け犯人と断定した一方で、本人の拘留は否定した。奇妙な判断だと思う。自分は神様ではないから、犯人なのか犯人ではないのかは分からない。でも、東京高裁の考え方には偏りが有り過ぎていることは分かる。冤罪の臭いが強い検察側に寄り過ぎている。再審請求は阻止しろという司法の天の声に従順過ぎるようにもみえる。確かにこの事件でのDNA鑑定法は特殊だ。味噌樽に浸かっていた着衣から特殊な試薬を使ってDNAを取り出した。これは確立した鑑定方法ではないから信用出来ないと言う。その論法だと、DNA鑑定法がいくら改良されても、証拠判定には使われないことになる。現在のDNA鑑定で、同じ型の別人が現れる確率は4兆7000億人に1人とされている。極言すると、東京高裁のこの裁判官は、別の裁判で最新のDNA鑑定により犯人と同定された場合でも、4兆7000億人に1人の別人の可能性があると言い出すかもしれない。弁護団は最高裁に特別抗告する方針とのこと。最高裁は適切かつ的確な判決を下すことが出来るのだろうか。