プラスチックから紙へ

政府が海に浮遊するマイクロビーズによる汚染対策に乗り出すという。マイクロプラスチックによる海の汚染が国際的な問題となっており、生態系や人体への悪影響の懸念に対応するためだ。マイクロプラスチックのうち超微小なものがマイクロビーズ。マイクロビーズは汚れを落とす効果があるため洗顔料や歯磨き粉などに使われている。だが、マイクロビーズは排水処理施設で取り除くことが出来ない。大部分が海へ流れ込んでいる。プランクトンや魚が誤飲し食物連鎖に影響したり、有害物質が人体にも取り込まれる恐れもある。マイクロビーズを使用していた化粧品業界は、殆どが問題を察知し自主的に製品化を取りやめたようだ。立法化が後追いとなり、後手を踏んでいる。5mm以下のプラスチックをマイクロプラスチックという。量はマイクロビーズに較べ圧倒的に多い。生態系への影響はマイクロビーズと同じだが、対策は殆ど取られていないないのが現状だ。EUではプラスチック製の食器類やストロー、綿棒などの使い捨て製品が禁止され、木や紙に替えるよう法律が整備されつつある。木や紙に替わって現れたのがプラスチックだが、今やプラスチックを木や紙に戻す時代になっている。ところが、日本ではプラスチックの使用を制限するどころか、反対に製紙工場の生産能力の縮小が進んでいる。デジタル化、ペーパーレス化の進展で紙の需要減少が止まらないためだが、今後姿を変えて再び需要が増すのは間違いない。政府は早急に国策として、プラスチックから木、紙に転換する方針と政策を示すべきだが。実態の無いお題目政策ばかりの政府に、実効性のある政策立案は可能なのだろうか。