私立高校無償化の波紋

私立高校の授業料無償化に伴い、都立高校の定員割れが発生するとのこと。それ自体異変とのことだが、何かが間違っていると感じる。東京都では昨年度から、世帯年収が760万円未満の家庭を対象に私立高校授業料の無償化を始めた。公立よりも私立に行きたがるのは、単に私立の方が生徒のニーズに合っているからなのだろう。勿論公立でもピンキリがある。上位校は高倍率を維持しているが、低位校は敬遠されているとのこと。半世紀程前は逆だった。一部の例外はあるが押し並べて、成績の良い順に公立校が埋まっていき、落ちこぼれや受験に失敗した生徒が私立に行った。でも20数年前から逆転し始めた。高校が荒み始めた頃だ。公立の低位校は驚くほど荒んだ。一方私立では、あの不良高校が見事な進学校に生れ変わった。そして現在私立が無償化されたので、お金が無いから荒んだ低位校に行くという生徒などいるはずが無い。当然の定員割れだと思う。無償化は、家庭の経済状況に左右されずに生徒が進学先を選べるようにするのが目的だ。目的自体は良いと思うが、実態に適しているのだろうか。無償化の対象は私立高生の3割に当たる5万人超だという。公立の上位校でも私立に流れる生徒もいるというから、大盤振る舞い過ぎると思う。最大の問題は公立の低位校の立て直しだ。低位の要因を明確にして、無償化の費用の一部を充て立て直しを図るべきだ。それも出来ないのならば、低位の公立は統合・廃校に進むしか道は無さそうだ。