国民にとって優れた国とは

世界経済フォーラムで、ノルウェーが経済指数でみた「世界で最も国民にとって優れた国」と報告された。算出の根拠はGDPとは異なるIDI(The Inclusive Development Index)。IDIは、国民の生活水準と経済の将来的の保護に焦点を当てた国家経済成績を表す新しい指標で、GDPに替わる指数として世界経済フォーラムが打ち出したもの。IDIの算出には、成長と発展、包括性、世代間の共生と持続可能性の3つの指数が使われる。成長と発展は、1人当たりGDPと、主に労働生産性や雇用、健康な平均寿命などで決まる尺度。包括性は、ジニ係数や世帯の平均所得などを使った貧困富と所得の不平等の尺度。世代間の共生と持続可能性は、公的債務、GDP比の炭素排出量、天然資源の枯渇などの分野により算出される尺度。世界経済フォーラムは、GDPは経済活動に関する視野の狭い尺度で、市民への利益の高さに直結していないと指摘している。IDIは如何にも真面な指標に見える。ところが、1人当たりGDPのベスト10と較べると殆ど同じ国が顔を出すのだ。何も小難しくして問題を議論する必要はない。確かにGDPでは国民にとって優れた国かは判断出来ないが、1人当たりGDPで判断出来る。因みに現在の日本のIDIは24位で、1人当たりGDPは22位だ。そろそろ日本でも「1人当たりGDP」を如何に伸ばすかを議論すべきだと思う。