インパクトなImPACT

量子コンピューターの初の国産機の開発に成功したと国立情報学研究所やNTTなどのチームが発表した。処理速度はスーパーコンピューターの100倍に達したという。量子コンピューターとは、光の粒や電子など量子と呼ばれる極めて小さな物質の世界でおきる物理現象を応用した次世代のコンピューターだ。ハードウェアは量子ゲートを組み合わせた量子回路だが、量子ゲートは核磁気共鳴、量子光学、超伝導素子など様々なものが使われる。今回発表の量子コンピューターは、全長1キロのループ状の光ファイバーに光の粒を大量に入れ、この光の粒が「0」であると同時に「1」でもあるという量子力学の特殊な物理現象「重ねあわせ」を応用することで超高速の計算を行うとのこと。難しすぎて内容は理解出来ないが兎に角速いのだ。しかも、消費電力はスパコンの100分の1。量子コンピューターは人工知能や新薬の開発、交通渋滞の解消などに役立つことが期待されている。残念ながらスパコン用のソフトは使えない。ソフトを増やし使い易くするため、世界中の研究者が利用できるようインターネット上で無料公開するとのこと。賢いし太っ腹だ。この開発は内閣府の研究支援制度「革新的研究開発推進プログラムImPACT」の一つ。ImPACTとは、実現すれば産業や社会のあり方に大きな変革をもたらす革新的な科学技術イノベーションの創出を目指し、ハイリスク・ハイインパクトな挑戦的研究開発を推進することを目的として創設されたプログラム。税金は有効に活用されている。成長戦略とは、このように地味ではあるが着実に革新的な技術を開発し、実社会を豊かに導くことだと思う。