節操の有無

新聞の下欄にある文藝春秋12月号の広告に目が留まった。「退任した前会長の遺言 NHKは受信料を値下げせよ 籾井勝人」という小さな見出し。この人ほど期待外れだったNHK会長はいないと思う。籾井は三井物産出身で豪腕で知られていたから、NHKに民間パワーを注入出来ると期待していた。当時このブログ「NHKのあるべき姿」にも書いた。だが期待を裏切り、国会での就任挨拶から発言の取り消しが始まった。でも発言内容は民間人として極めて常識的なものだったと思う。取り消さなければ道を踏み外してしまうことも無かったろうにと思う。それ以降は、費用の公私混同や全理事から日付の無い辞表提出など、お騒がせの毎日だった。籾井が唯一真面な対応をしたのは、退任直前に自ら提案した受信料値下げだ。放送センター建て替えのため積み立ててきた建設資金が目標を達し200億円が余剰になった。この200億円を受信料値下げに充てようと提案した。だが経営委員会で却下され実現には至らなかった。何処の会社でも同じだが、それまでNHK受信料が高過ぎると言っていてもNHK会長に就任すると、手のひらを返したように値上げを主張する。節操が無い典型だ。籾井は、値下げについては節操があった。就任時に自説を曲げない節操があれば、名会長になっていたかもしれない。