否定の否定は肯定

住民投票が花盛りだ。昨日はクルドの独立を問う住民投票が行われ、9割が独立に賛成だったとのこと。明日はスペインからの独立を問うカタルーニャ州の住民投票の予定だが、スペイン政府は憲法違反だとして投票を阻止する構えだ。日本でも明日行われる住民投票がある。場所は茨城県神栖市。総事業費が約171億円のアリーナ建設見直しの賛否だ。アリーナは、敷地面積約2万9千平方メートルの体育館や音楽ホール、温水プールなどで構成される複合施設で、災害時には約1万人が避難可能な防災拠点にもなる。市民団体が、規模が大き過ぎるので縮小の見直しを要求している。だが見直しすると38億円の損失が発生するという。今どき171億円ものアリーナ建設が妥当かの問題はあるが、もう一つ問題がある。問題は投票用紙だ。賛成の人は○、反対の人は×を書くことになっている。勿論、見直しに賛成ならば○を書くことになるが、勘違いして事業の存続に賛成な人が○を書いてしまうケースもある。見直しに反対ならば×を書くが、事業そのものに反対の人が×を書く場合もある。○と×の選択方式は、極めて簡素のようだが、大きな落とし穴がある。住民投票の典型的な失敗例になるだろう。ひょっとして住民投票のやり直しの恐れも否定出来ない。「見直し」は否定的な要素を含んでいる。否定を否定することは肯定になり、否定を肯定すれば否定することになる。神栖市はもっと熟慮すべきだったと思う。