民族自決の道は

イラクのクルド人自治区で独立を問う住民投票が明日に迫ってきた。だが世界中の国々が反対している。何故なのだろう。約3000万人のクルド人は、イラク、トルコ、イラン、シリアの4カ国にまたがって住んでいる。元々は全員がオスマン・トルコ帝国に住んでいた。ところが第1次世界大戦でオスマン・トルコ帝国が敗れ、英仏露の密約協定により分割されてしまった。一つの民族が密約により4カ国に引き裂かれてしまったのだ。イラク北部には約500万人のクルド人がいる。石油が豊富なため自治区は経済が自立し、独自の外交を行い、自前の警察も軍も持っている。だが、イラクはクルド人を少数民族として見下し、迫害しにらみ合っている。民族が他から干渉を受けることなく、自らの意志でその帰属や政治組織を決定する民族自決は、民族独立の指導原理になっている。その原理にならえば、クルド人に独立する権利があるのは当然だと思う。イラクの反対理由は、国土が減ることと豊富な石油を手放してしまうことになるから。トルコでもトルコ人とクルド人の激しい対立がある。イラクの住民投票が行われれば、次はトルコに飛び火してくる。だからエルドアン大統領は制裁を口にしている。諸悪の根源は、英仏露の密約協定にある。民族自決のために、この際英仏露が一肌脱ぐのが道理というものだと思うのだが。