認知症を血液検査で

京都府立医大の研究グループが、アルツハイマー病を血液で診断する方法を世界で初めて開発したと発表した。アルツハイマー病の患者は、脳内にリン酸化タウというたんぱく質が蓄積されるのが特徴だ。リン酸化タウは認知症の発症が近づいてきた時期から脳に蓄積し始め、その大脳内での広がりが認知症の発症とダイレクトに関連していることがわかっている。リン酸化タウを定量するには現在は患者から髄液を採取し、その髄液中で定量する方法はある。しかし髄液の採取には苦痛が伴う。だから普及はしていない。リン酸化タウは血液中には極微量しか存在しないため、これまで定量出来なかった。研究グループは、米クァンテリクス社が開発した超高感度の検出器を活用し、捕捉抗体・検出抗体・検出試薬・ヘルパービーズの組み合わせを適正化することにより1000倍の感度で検出出来る定量システムを開発したとのこと。75歳以上で運転免許を更新する場合、認知症健診が義務付けられており、煩雑な記憶テストなどの神経心理学的検査を行うことになっている。だがこの技術が開発されれば血液検査だけで判断出来るようになる。高額なPET検査を受ける人も減らせることになる。何より、アルツハイマー病の日常診療から臨床研究までのすべての局面で、診断過程を革新的に進歩させることになるはずだ。早期の実用化を願いたい。