経済は生もの

ビールも発泡酒も第三のビールも、全てのビール系出荷量が前年比マイナスになったとのこと。主因は6月1日から施行された安売り規制にあるようだ。安売り規制は地場の酒屋さんの店仕舞いを防ぐために創設された法律だ。これまでビール類の商売は販売数量がものをいっていた。たとえ原価割れでも沢山売ればメーカーが、赤字分を販促費として補填する。だから、スーパーなどは挙って安売りに走っていた。沢山売れば損はしないという商売形態だから、量販店には恩恵だったが、地場の酒屋さんには逆風だった。そこで、バカな政治家がサル知恵を生み出した。販促費を規制すれば、地元の酒屋さんも対等に戦えるに違いないと。その法律のメリットは酒屋さんの厚遇、デメリットはビール好きへの冷遇。だが、その結果はどうなったのだろう。値上げになったからビール類の消費が落ち込み、スーパーも酒屋さんも痛手を被った。酒屋さんには何のメリットも無かった。寧ろ大手のイオンなどは、コスト削減に励み、値上げせずに顧客を増やした。更に、元々高く売っていたコンビニは値上げをしなかったので顧客が増えた。地場の酒屋さんを助けるつもりで、結果として殺してしまった。需要と供給は経済の原則だ。欲しいと思う人が、それなりの対価を払って買うのが当たり前。それを無理矢理お上が対価を強制した。大失敗の典型例と言える。このバカな法律で残ったのは消費者への負担だけ。少なくとも言えることは、経済は生もの。決して汚れた手で扱ってはならないということだ。