原子力規制委員長は適材か

原子力規制委員会の田中委員長の発言が波紋を広げている。高浜原発の再稼働を受けて、国の原子力災害対策指針などの説明会の席上でのこと。住民からの「北朝鮮のミサイル攻撃への対策は」との質問に対し、田中委員長は「大型航空機落下についての対策があり、相当の対応は出来るがミサイル攻撃は原子力規制の範囲を超えている。私が北朝鮮だったら人口の多い東京都のど真ん中に落とす」と発言。すぐに発言は不適切だったと釈明はしたが、田中は原子力規制委員会委員長として適任なのだろうか。福島原発事故後、原発推進学者16人連名で、国と自治体、産業界、研究機関が一体となって緊急事態に対処することを求める異例の緊急提言が発表された。田中はその中の1人だ。翌年、無能な原子力安全・保安院が廃止され、環境省下に原子力規制委員会が設置された。田中は初代委員長に就いた。当時から原子力ムラの実力者に原子力規制委員会を任せて良いのかという批判が多かった。でも滑り出しは誠実に仕事を熟していた。ところが、民主政権から自民政権に替わった途端、言動が政府側に偏り粗くなった。「放射能汚染水は貯めずに放流してしまえ」とか「他に問題があろうと規制条件にさえ合えば稼働を許可する」とか「川内原発で想定される巨大マグマ噴火は仮定に過ぎない」とか本性を現した。その続きが今回の「私なら東京のど真ん中にミサイルを落とす」だ。田中は真摯な態度で原発の安全を考えている訳ではない。田中にとっては規制条件こそが金科玉条。偏屈な学者の1人に過ぎない。最早原発再稼働を止める手段は無い。第2の福島原発事故へと進み始めているようだ。