有害なG20

G20(20カ国・地域財務相・中央銀行総裁会議)は、焦点だった「反保護主義」を共同声明に明記できないまま閉幕した。保護主義による貿易停滞は米国を含む世界経済の成長を阻害するというのがG20が共有してきた基本認識だった。これまで毎回保護主義反対を謳ってきたというのに、様変わりしてしまった。原因はトランプ大統領の強烈な保護主義政策。米国の一大統領が一言吠えれば、G20の財務相など吹き飛んでしまう。何ともはや、全く頼りにならない連中だ。どの面を下げて、一国の財務を仕切っているのだろうかと疑ってしまう。だが、トランプは自由貿易を全面的に否定している訳ではない。トランプが、米国にとっての公平さを他国に押しつけようとすることが問題なのだ。G20は反保護主義の旗を降ろすべきではなかった。自由貿易主義を貫き「米国にとっての公平さ」とは何かを徹底的に議論すべきだったと思う。G20はトランプを諭すチャンスがあったのに、反対に増長させてしまった。無用というよりは有害なG20に成り下がったと言える。歯止めがなくなり、世界の各国が我先に保護主義に走って行きそうだ。