ブラック業界の構造改革

宅配便最大手のヤマト運輸が、とうとう荷物の取扱量抑制の検討を開始した。日本の2000年の取扱量は約20億個だったが、2013年には36億個と倍増に近い。更にここ数年はアマゾンなどのネット通販の荷物が急激に伸びている。でもヤマトはアマゾンには通常料金の3分の1程度の超割安料金で対応している。宅配便市場のシェアは、ヤマト47%、佐川急便32%、日本郵便14%。ところが、ヤマトは27年間も値上げをしていない。ヤマトの売上げは増えているが、利益は減少している。如何に安い送料でやってきたのかが分かる。安いから取扱量は増えるが、それを熟す体制が整わない。物流を効率化しても充分な人員が確保出来ない。人員が補充出来ないから、益々現場の人への負荷は大きくなる。サービス残業が常態化している。ヤマトの未払い残業代は、社員7万6千人に対し数百億円にも達するという。まさにブラック企業で第2の電通だ。佐川にも同様な過剰労働問題があるし、駐車違反身代わり問題もある。日本郵便は取扱量が倍増したが、赤字も倍増した。全く異常な業界だ。ヤマトが取扱量制限を発表したら、意外にも株価が上昇した。市場は、売上は伸びても利益に繋がらず、さらには現場が疲弊するだけのヤマト運輸の現状に「ノー」を突きつけたということだ。さすがにアマゾンも値上げを認めざるを得ないだろう。これはヤマトだけの問題では無い。宅配業界全体の問題だ。宅配事業の適正化は、日本の歪んだ構造の改革の第一歩とも言えそうだ。何だか、日本の明るい明日が見えてきたような気がする。