夜明け間近の夕張市

日本で唯一の財政再生団体である夕張市にも、やっと明るい兆しが見えてきたようだ。高市総務相は、緊縮一辺倒から脱却し、借金返済と地域再生の両立を目指す市の新方針を、特別交付税で支援する意向を明らかにしたとのこと。夕張市は炭鉱の閉山と無謀な投資の観光開発で、借金まみれになり財政が破綻した。借金は353億円。徹底した緊縮財政で95億円を返済。人口は12万人から1万人以下に減り、高齢化率は全国一の49%。東京23区より広い面積に小中学校は1校ずつ。市民病院は診療所に変り、171床が19床に。市民会館も図書館も無くなった。その厳しい環境下で頑張っているのが35歳の鈴木市長だ。鈴木市長は、猪瀬元副知事の発案で都職員として夕張市に派遣された。その後都庁を退職し、選挙を経て市長になった。給与は70%カット、ボーナスは100%カットで、年収は200万円台。日本一給料の安い首長として有名だ。だが、やることは凄い、徹底している。コンパクトシティの実現に向け取り組んでいる。JR北海道には、夕張支線の廃線を逆提案し、JR北海道から市の交通施策への協力やJR施設の利用や社員の派遣などの条件を引き出したとのこと。今回総務省が特別交付税で支援し地域再生事業に活用するのは極めて異例だ。でも夕張市を地方再生のモデルケースと捉え、財政再生団体に陥落寸前の地方都市を救う一手段にはなりそうだ。だが、肝心の地方創生相の影が薄すぎる。地方創生相は地方再生には興味が無いのかもしれない。