犬山の有楽苑

昨年から宿の手配をしても都合が悪くなり行くことの出来なかった犬山行きが、3度目の正直でやっと実現した。犬山城は天守が国宝に指定された5城の一つ。現存する最古の城と言われている。城は小ぶりだが、修理や保全に相当手間がかかりそうな状況だ。10年ほど前に成瀬氏が個人保有を断念し財団法人化した理由が良く分かる。隣接地に名鉄犬山ホテルが所有する有楽苑がある。国宝茶室如庵で有名だ。有楽苑には3つの茶室がある。如庵は織田信長の実弟有楽斉により建仁寺に建造され、最終的には大磯の三井別邸から移設され現在の地に至っている。元庵は有楽斉が天満に構えた茶室を古い設計図をもとに復元したもの。茶を点てる亭主の後ろに床の間があり亭主床と呼ばれているようだ。躙り口もあるが、殿様用の大きな入口もある。いかにも殿様レベルの亭主と正客が使っていたことを彷彿とさせる構えになっていて興味深かった。現代の建築家が設計した弘庵で薄茶を戴いた。東京の有楽町とは、有楽斉が住んでいたことから名付けられたという。有楽町には勤めていた会社の本社があり5年間も通った場所だ。また如庵は、長年自分が住んでいた平塚の隣町である大磯から移築されたという。茶道も数年間にわたり義母から習って一通りの点前は出来る。何か有楽苑を訪れたのが必然のように思えてきた。