他山の石と自山の石

原発再稼働反対の知事が2人誕生した。鹿児島県と新潟県。まさに民意は脱原発という見えないうねりが出ている。小泉元首相は安倍首相に対し「何故分からないのか」と詰め寄った。野党が脱原発を旗印にすれば、与党は選挙に負けると諭すが安倍は聴く耳を持たない。まさに日本の原発に対する構図が鮮明に描かれている。日本政府は原発再稼働にまっしぐらだけでなく、発送電分離の話も既に立ち消えになってしまった。今後もこのような綱引きが繰り返されていくのだろうか。ところが、お隣の台湾は違う。蔡英文政権が発足し、2025年に原発ゼロにすることを決めた。電源構成を再生エネルギーにシフトし、発送電分離も行う計画だという。日本より遥かに進んでいる。理由は日本の3.11。東日本大震災の悲惨さを見て、脱原発に世論が高まった。台湾は日本と同様に地震が多いのだから当然と言えば当然だ。だが、その当然が日本では当然にはならない。日本とは極めて不思議な国だと思う。台湾は、日本の大震災を「他山の石」としたが、いつになったら日本は「自山の石」と思えるようになるのだろうか。