ボブ・ディラン vs 選考委員会

目出度く(?)ノーベル賞受賞が決まったボブ・ディランが、未だにウンともスンとも言わず雲隠れしている。選考委員会が連日連絡を試みたが梨の礫。とうとう選考委員会が痺れを切らした。委員会の一員がボブ・ディランをテレビ番組で「無礼で傲慢だ」と非難した。ボブ・ディランは、伝統や制度など既存の価値観にとらわれない生き方を追求する「ヒッピー文化」を先駆けた人物だ。歌詞がノーベル文学賞に値しようが、信条は反体制派。権威を重視するノーベル賞など、元々クソ喰らえと思っているに違いない。そう考えると、ボブ・ディランが無視続けている状況が良く分かる。もっと強く表現すれば「ノーベル賞辞退」だが、そうはせず無視しているのはボブ・ディランの思いやりかもしれない。選考委員会は、選考時にボブ・ディランの信条を理解していたはずだ。上から目線の権威でボブ・ディランの信条をねじ伏せられるとでも思っていたのだろうか。「無礼で傲慢だ」という言葉が、それを証明している。だが傲慢であるのはノーベル賞選考委員会の方と言える。「去る者は追わず」程度の許容さで、辞退者を許容していればノーベル賞の権威も維持出来たと思う。だが、辞退者を非難するのであれば既に権威は地に落ちたと見るべきだろう。ノーベル賞の価値を選考委員会自身が貶めているように思う。