ノーベル文学賞の進化

今年のノーベル文学賞は、何とボブ・ディランだった。村上春樹はまたしても受賞を逸してしまった。ボブ・ディランという名前は聞いた事がある。ガロの「学生街の喫茶店」に中に「君とよくこの店に来たものさ・・・片隅で聴いていたボブ・ディラン♪」という詞が出て来る。その程度だ。どういう人物かは知らなかった。ボブ・ディランの受賞が決まり、マスコミは大騒ぎだ。ピーター・ポール&マリーの「風に吹かれて」の作詞作曲もボブ・ディランであることを初めて知った。ミュージシャンとして一世を風靡し現在も音楽活動を続けているようだ。ノーベル賞の審査委員は、ボブ・ディランをギリシア時代のホメロスとイメージを重ねている。ボブ・ディランは現代の吟遊詩人で、アメリカの歌における伝統の中に、新しい詩的表現を創出した偉大な詩人だと評価したとのこと。文学賞に音楽も対象に入れるのかと違和感はあったが、今や大学の文学部は、詩や小説に加え、映画、ポピュラー音楽、ファッション等を対象とした文化研究の場に移行しつつある。文学そのものの定義が変わりつつある。ノーベル文学賞も進化しつつある。そのうちタイトルもノーベル文化賞に変わるかもしれない。