リチウムからマグネシウムへ

1991年に旭化成が発明しソニーが実用化したリチウムイオン2次電池は見事に花が咲き、電子機器や自動車の分野で主役を演じている。今年のノーベル化学賞にもノミネートされるほどの地位を築いている。だが欠点もある。発火し易くサムスンは最新のスマホを全量回収している。価格も高い。主原料のリチウムは希少元素で、かつ産出される4分の3は南米のチリに偏在している。このためリチウムイオン2次電池の後を引き継ぐ次世代電池の開発が盛んだ。ホンダと埼玉県産業技術総合センターは、世界で初めてマグネシウムイオン2次電池の実用化に目途を付けたと発表した。すでに寿命や安全性はリチウムと遜色がないことを確認済みだという。電池の容量もリチウムよりも大きく小型化し易いのが特長。何と言っても、最大の利点は高価なリチウムを使わずにマグネシウムが使えること。調達コストはリチウムの25分の1程度に収まることになる。マグネシウムイオン2次電池が次世代電池競争のトップに躍り出て、そのまま独走しゴールテープを切るのかもしれない。新技術の出現はいつも心をワクワクとさせるものだ。