核のジレンマ

安倍首相が米国の核先制不使用について反対の意向を伝えたが、日本のマスコミは大きく取り上げていない。オバマ大統領が、敵の核攻撃を受けない限り、核兵器を使用しないとの政策を打ち出しているが、反対意見が多い。ケリー国務長官やカーター国防長官が反対し、英仏独は懸念を示している。安倍首相は、北朝鮮に対する抑止力が弱体化するとして反対を表明したようだ。だが、果たして核先制使用が正しいのだろうか。核の威力は凄まじい。たった1発でも数十万人が犠牲になり、環境は破壊され長年にわたって放射能の後遺症に悩まされることになる。核保有国同士で核が落とされれば、必ず核による報復が始まる。先手を打とうが、後手を引こうが被害は同じだ。そもそも核戦争に勝者は存在しない。両者が敗者になるだけ。核を使わず、使うかもしれないということが核の抑止力たる所以だ。核の先制使用は囚人のジレンマと似ている。誰かが抜け駆けするかもしれないと恐れるから、先制使用する権利を持つことが大事だと思うのだろう。だが、核には報復という手段があるので、先制使用はそれほど重要ではないはずだ。全ての国がハッピーになるには、全ての国が核先制不使用を宣言することだ。オバマ大統領だけが正解の道を歩んでいる。世界が核のジレンマから抜け出すのはいつになるのだろうか。