形式だけの決定機関

黒田日銀総裁のバズーカも一時的で、当初は円安株高が進んだが今では就任当時に戻ってしまった。2年後に物価安定目標2%を掲げたものの、0%付近を推移しており、全く金融政策の効果は見られない。結局アベノミクスは失敗だった。だから日銀は方向転換をするべきだと思うのだが、日銀の金融政策決定会合は真逆の方向に進んでいる。政策は9名のメンバーの賛否で採決される。過去2回の追加緩和は5対4だったが、今回のETF追加緩和は7対2と賛成が増えた。過去の延長線上の政策なのに何故だろうかと思ったら、メンバーが替わっていた。総裁反対派が退任し、賛成派に置き換わった。総裁の言う事を聞く人ばかりになったのだから、黒田の思うが儘だ。果たしてこのような金融政策決定会合は、正常に機能するのだろうか。全く形式だけの会合になる。しかも黒田総裁の責任は会合の責任にすり替わってしまう。権力者のやりたい放題となり、極めて危うい組織になってしまった。一方、原子力ムラでも同じことが起きている。問題は、旧原子力安全・保安院が衣替えした原子力規制委員会。東日本大震災後、民主党政権が原子力ムラの猛反対を押し切って原子力規制委員会に入れた島崎元日本地震学会会長をメンバーから外し、御用学者を代わりに入れた。島崎氏は、関西電力が大飯原発で想定する最大級の地震の揺れが小さく見積もられ過ぎていると指摘した。垂直の横ずれ断層で起きた熊本地震と同じメカニズムだから、熊本地震から得られた新たな知見を加えて評価すべきと主張した。だが結局意見は取り入られずに、退任させられ御用学者の出番になった。原子力規制委員会には、3.11の教訓を生かし、熊本地震の知見を取り入れる姿勢は全くないことが分かってしまった。大飯原発で地震が起きれば、3.11の二の舞を踏むことになる。既に金融政策決定会合も原子力規制委員会も形式だけの決定機関に成り下がってしまった。信頼は出来ない。