狸の三菱と狐の日産

三菱自動車の燃費不正が泥沼化している。会見では「調査中」を繰り返し軽自動車だけでなく全車種に広がる気配だ。そんな最中に、日産のゴーンCEOが三菱の益子会長と共に現れ、日産が三菱と資本提携し傘下に入れると記者会見をした。ゴーンも益子もにこやかな笑顔だ。ゴーンの顔が狐で益子の顔が狸に見える。ゴーンが笑顔になるのは分からなくもないが、益子の笑顔は全く理解出来ない。三菱の経営者らは、今回の不正事件の責任を本社の技術者と子会社に擦り付けた。もし本当に経営者が実情を知らないのであれば、典型的なお飾りのボンクラ経営者であるし、知っていたのであれば己だけが助かれば良いという人間のクズと言える。三菱グループの経営トップらは燃費不正など屁とも思っていないようだ。グループのドンである相川三菱重工元会長しかり、益子会長しかり。益子の笑顔は、三菱自動車が延命出来る見通しを得たからと推測されている。だが果たして会社として存続出来るのだろうか。燃費不正とは消費者を舐めているということだ。消費者はそれ程甘くは無い。今後三菱自動車を購入する人は、皆から「何故三菱なの」と質問の雨を浴びることになりそうだ。燃費不正の全容を解明し、実行可能な改革案を示し、実行されて初めて消費者が戻ってくることになる。一方ゴーンから見れば、日産が持っていない軽自動車作りのノウハウと三菱の東南アジアの強い販売網が手に入る。二千数百億円で手に入るのであれば、安い買い物と思っているはずだ。だが、その日産も韓国でフォルクスワーゲンと同じディーゼル車の排ガス不正が発覚し刑事告発され、尻に火がついている。三菱を傘下に入れ販売車数一千万台競争のスタート台に立ったものの、極めて前途多難と言えそうだ。