命名権あれこれ

施設の命名権を売り、赤字を補てんする行政や企業が相次いでいる。存続が危ぶまれている銚子電鉄では、駅名の命名権を売り出した。笠上黒生(かさがみくろはえ)駅は、髪毛黒生(かみのけくろはえ)駅に改名された。命名権を買ったのは、頭皮ケア製造販売会社というから納得の命名だ。東北楽天イーグルスの本拠地である宮城球場は5回も改称し、フルキャスト、クリネックスなどを経て、楽天Koboに落ち着いた。余りにも変わり過ぎて今の名称が分からない。失敗の典型例だろう。大阪の泉佐野市は、何と市の名前の命名権を募集したが、応募ゼロで立ち消えになった。企業の良識が働いた結果だと思う。一方もっとユニークな命名権購入動機もあるようだ。鎌倉市が砂浜の整地費などを確保するため、数年前に由比ガ浜など三つの海水浴場の命名権を募集した。命名権を買ったのは鎌倉銘菓鳩サブレーでお馴染みの菓子メーカーの豊島屋。でも豊島屋は、鎌倉の海岸を「サブレー浜」などとは変更しなかった。豊島屋の購入目的は、由比ガ浜などを昔通りに名称を残すこと。破廉恥な行政対真摯な地元企業の対戦は、真摯な地元企業に軍配が上がった。心温まるエピソードだ。今度、鎌倉に行った時は、サブレーを買うぞと心に誓った。