相続は人間と法人だけ?

文系の生活をしたいと思い、化学系の会社を中途退社した後に少し感動したことがある。文系ならば、文学か法律かと思っていた時にマンション管理士の資格が目に留まった。会社生活時代は、他人から色々と相談されることが多かった。相談されることが身に合っていたのかもしれない。そんな理由もあってマンション管理士の受験勉強を始めた。受験のため専門学校にも通った。科目は色々あったが、特に思い出深いのが民法だ。学生時代は化学の授業が殆んどだったので、それまで法律など学んだことはない。勿論民法も。日本の法体系を上から並べると、まず憲法があり、その下に民法や商法や刑法がある。当時はそんなことも知らなかった。それを知っただけでも感動ものだった。更に民法では、相続と権利について習った。相続出来る権利があるのは、人間と法人だけだと先生が言う。たとえ遺言に残そうが、動物はダメなんですよ、と先生がのたまう。へー、そーなんだと感心したことが今でも心に残っている。だが、最近米国で自撮りしたサルに著作権は存在するのかというニュースには驚かされた。インドネシアに生息するサルが、写真家がカメラから目を離している間にシャッターを押して、自らの写真を撮影したことが発端だ。写真家は自分のものとして出版したが、動物愛護団体が所有権はサルにあるとしてノーと訴え裁判沙汰になった。昔大金持ちが犬に相続するという遺言が無効になったこともある。今回も当然そうなるだろうと思っていた。案の定、判決は、サルの所有権を認めなかった。ところが、判決理由には驚いた。判事は「議会と大統領は、人間に対する法の保護を拡大して動物に適用することが出来る。だが、著作権法について議会と大統領は、そういう示唆はしていない。よってサルには著作権は存在しない」と判決した。と言う事は、議会と大統領が認めれば、サルでも犬でも相続人になってしまうのかもしれない。つくづく恐ろしい世の中になったものだと思う。