一気飲みの責任

最近はあまり聞かなくなったが数年前まで「一気飲み」が流行っていた。一気飲みの犠牲になるのは殆んど大学の歓迎コンパの新入生と相場が決まっていた。今日の朝刊に、一気飲みで死亡した息子の両親がサークル仲間21人に対し総額1億7千万円の損害賠償を求める訴訟を起こしたとの記事が載っていた。訴訟を起こした理由は、異常と気付いていたのに放置したからだという。ろくに酒も飲めない新入生に無理やり酒を飲ませ、ぶっ倒れているのに何もしないとは酷い奴らだ。ご両親の気持ちも宜なるかなと思った。ところが記事の内容を読んで驚いた。亡くなった息子は当時東大の2年生で21歳、サークルのコンパ長だったとのこと。21歳といえば間違いなく大人だ。自分の行動には自分が責任をとる年齢だ。しかも東大生なのだから酒の怖さが分からぬほど頭が悪いという訳でもない。更にコンパ長というからには主催者側だ。決して新入生いじめではない。この両親が何故訴訟を起こしたのかが理解出来ない。ぶっ倒れた仲間を介抱しなかった仲間に落ち度があるのは間違いない。介抱しなかったのは何らかの理由があるはずだ。その時は意識があり本人が介抱を拒んだとか、介抱されない位仲間から嫌われていたとか。だがぶっ倒れた責任は息子自身にある。この両親の論理であれば、一気飲みをしている息子を制止しなかった仲間が悪いとでも言い出しそうだ。自分がこの親であれば、息子の出来損ないと諦める。サークル仲間には「もし救急車を呼んでくれていたら」と心の中で呟くかもしれない。間違っても訴訟など起こしはしない。この一家にはマザコンの強力な臭いがプンプンする。