アクティブラーニング

中央教育審議会の特別部会の委員たちが「アクティブラーニングって何?」ということで体験学習をしたというニュースには驚かされた。アクティブラーニングとは、教員が子どもに教える従来の受動的な講義形式ではなく、能動的に議論や体験学習を通して考える力を育てようというもの。XY座標で表すと、X軸は「活動の範囲」でプラス側になるほど広く、Y軸は「構造の自由度」でプラス側になるほど高い。現在の教育は左下の第3象限にあり、知識の定着を目指すだけで「活動の範囲」は狭く「構造の自由度」も低い位置にある。一方アクティブラーニングは右上の第1象限にあり「活動の範囲」は広く「構造の自由度」も高い。教員と学生が意思の疎通を図りながら切磋琢磨して知的に成長し、学生が主体的に問題を発見し解を見つけ出す能力を高めることを目指している。誰が考えても、従来の教育方法よりアクティブラーニングの方を社会が求めていることは容易に分かる。だから中教審自身が3年前に、従来の知識偏重型教育を否定し、アクティブラーニングへの転換を文科相に提言したのだ。提言から3年も過ぎて今更委員たちが「良く分からないのでアクティブラーニングを体験しよう」と言い出した。実際に体験して、アクティブラーニングの良さを実感したらしい。それはそれで良い。だが、何も分からぬ委員たちが集まって、日本の教育を論じて文科相に提言する中教審のあり方こそ、議題に取り上げるべきものだと思うのだが。