食糧問題の救世主は

約3千万円のコストをかけたビーフバーガーが話題になっている。ペトリ皿の中で牛の幹細胞を培養した筋繊維を合成して人造肉を作りバーガーにしたとのこと。研究者はマーストリヒト大学の生理学者ポストで、研究資金の支援はグーグルの共同創始者ブリン。畜産は世界全体で温室効果ガス排出の18%を占め、氷結しない土地の30%を使用しているので、持続可能な方法で肉を生産する研究は価値があるとしている。だが何か違和感を覚える。金持ちの道楽のようにも見える。それとも研究に対する価値観が100年くらいズレているのかもしれない。見掛けも食感も味覚も天然のものと同じものを作ろうとするセンスが間違っているのだと思う。栄養素として動物性蛋白質を合成的に作るとか、牛肉と同じ食感や味覚を持つ植物性蛋白質を作るとか、一つの性能を追求する研究の方が人類の役に立つに違いない。もしこの研究が成功しても、それを食べた人間が「この人造肉は牛肉と同じだが、それが何なの」と言いそうだ。いずれにしてもこの研究が人類を救うことになることはなさそうだ。世界的な食糧問題の救世主になるかもしれない本命は、アンデスの穀物キヌアとか東大のユーグレナのような気がする。