まるで疑惑の総合商社や

脱税の罪に問われていたベルルスコーニ元首相の有罪が確定した。禁錮4年の刑だが高齢のため収監されず自宅監禁か社会奉仕を命じられる見通しらしい。ベルルスコーニは建設業から身を起こし、放送事業で財を成した企業家としても有名だ。ACミランのオーナーでもあり、総資産約80億ドルの世界有数の大富豪でもある。政権担当期間は9年もあり戦後イタリアの最長記録保持者でもある。陽気で饒舌で、物議を醸した発言は枚挙にいとまがないほどだ。だがベルルスコーニの真骨頂は、疑惑の多さだろう。脱税はもとより、買収、収賄、不正経理、不正購入、横領、麻薬密輸、マフィアとの癒着、未成年少女買春等々、人殺し以外の悪はやり尽くしたようだ。彦摩呂流に言えば「まるで疑惑の総合商社や」といえる。係争中の裁判がまだあり、今後刑罰が積み上がっていくのかもしれない。それでも労働者階級に絶大な人気があるという。ベルルスコーニが大物過ぎるのか、イタリア人は底抜けに度量が大きいのか、まるで異次元の世界を見ているようだ。