白血病根治薬の開発加速を

理化学研究所等の研究グループが、急性骨髄性白血病に効く化合物を見つけたと発表した。この病気は、骨髄の中を白血病細胞が占拠してしまうため正常な血液が作れなくなり、出血や貧血の症状や臓器組織の破壊による様々な症状を引き起こす。しかも現在の抗がん剤では、良くはなるが完治せず再発して死に至る確率の高い厄介な病気だ。研究チームは、白血病幹細胞に特に多く存在するたんぱく質に着目し、それと強く結びつく化合物をコンピューターで数万種類の中から探し出したとのこと。この研究の成果は、白血病幹細胞を含むすべての白血病細胞に効果があること、悪性度が高いとされる遺伝子異常を持ったタイプに有効であること、と言う。しかも単なるモデル実験ではなく、実際に再発している患者由来の検体を用いてマウスの生体内において白血病幹細胞をほぼ全てを死滅させる実績を作った。新たな白血病根治薬の実現はもう目前だ。また、この研究の成果はスパコンや世界最高の放射光を生み出すSPring-8があってのものとも言える。研究基盤技術が如何に重要なものかを教えてくれた研究でもある。