彦根の因縁話

昨秋初めて彦根市を訪れ、昔の面影が数多く残っていて落ち着いた町であることを知り甚く気に入った。そんなこともあり彦根市のニュースがふと目に留まった。「桜田門外の変の再来か」というニュース。彦根城は井伊直弼の居城で、桜田門外で直弼は薩摩藩の浪士に暗殺されたことは誰でも知っている。「再来か」とは、直弼の地元である彦根市の市長選に、直弼を暗殺した薩摩浪士の子孫が立候補したことに端を発する。その子孫に対し再選を目指す現職市長が「直弼の敵が市長になるのはおかしい」と厳しく批判したビラをばら撒いたため大騒ぎになった。ところが現市長は、市長を9期36年間務めた直弼のひ孫を破り市長になった人物で、薩摩浪士の子孫は直弼のひ孫とは家族付合いをしていた昵懇の仲。難癖を付けるとは、こういうことをいうのだろう。彦根市は観光客誘致や世界遺産登録などやるべき課題が多い。個人の出自などを争点にするようでは、成るものも成らない。彦根市民は賢明な選択をすることになるだろうと思う。