富士山を食い物にする県

富士山に登るには料金が必要になるかもしれない。静岡県と山梨県で協議を進めているらしい。富士山の世界遺産登録は今年6月に開催されるユネスコ世界遺産委員会でその可否が決まることになっている。世界遺産ともなれば観光客が激増し環境の悪化は間違いがないからだ。富士山美化と言えばアルピニストの野口さん。以前から野口さんは明峰富士の汚さを嘆いていた。この際時系列で俯瞰してみた。昔の富士山は登る人も少なく綺麗だった。山好きではない登る人が増え富士山はゴミと汚物の集積場と化してきた。それを嘆いた野口さんが富士山美化の口火を切り実行に移した。その美化運動が実を結び世界遺産に登録しようとの機運が高まった。登録が申請され、あと半年となったところで行政が名目は兎も角入山料を取ろうという話が持ち上がり今に至っている。この筋書きは何か変だ。行政がまず第一にやるべきことは、野口さんとタイアップし、登山者のマナー教育と環境保全投資のはずだ。県には初めから富士山を汚い山にしないことが故郷や日本を守る義務でもあった。そこを飛ばして、教育は野口さんに負んぶに抱っこ、しかも世界遺産になれば入山料を取ろうという根性の悪さには恐れ入る。知事たる者は県のやるべき仕事とは何なのかを今一度再考する必要があると思う。